うちのお母さんはいわゆる画家かデザイナーみないもんで、作品は雑誌に載ったりするし、個展もよくやってる。
芸術家気質とういうか、病気かもしれないけど、お母さんは特定な人以外に喋らないというより、喋れないみたい。だから、家にあるアトリエにこもって、いつもなんか描いてる。
お母さんは私たち家族にもあまり喋らない。だけど、小さい頃、よく歌を歌って寝かせてくれた。私とお姉ちゃんが何をやっても近くにいてくれて、ずっと微笑んでくれるお母さんが、今私にとってもとても不思議な存在。
それでも、もうお母さんの扱いが慣れてるせいか、何も言わずにちゃんとコミュニケーションが取れてる。
例えば、家族皆でリビングにいて、テレビを見たり、話したりすると、お母さんもその場にいる。何も喋らないけど、ちゃんと参加していることが皆で分かってる。また、お母さんは絵を描くとき、邪魔が入らないように、何日もアトリエに入って出てこないと、手が空いた誰かがいつも食べ物や飲み物を用意して、アトリエの前に置くだけ、「出てこいや」っていう人が一人もいない。
人が多い昼間を避け、お母さんは夜静かになってから、散歩へ外に出ることが多い。その時、お母さんが服を着替えれば、うちにいる誰かがそのままお母さんについていて、何も会話なく、ずっと歩いているだけ。
うちではそれが当たり前。お母さんと一緒にいれば、時間の流れも緩やかになる気がする。なんというか、お母さんはずっと自分の世界で生きてるって感じがするけど、彼女なりに家族の一員であることを示している、それを完全に受け入れる私たちがいて、不思議だけ、ちゃんと家族になってる。
世の中、家の数に色んな家族があるね。